酒船石遺跡(第24−2次)調査                 15年9月13日


 平成12年2月亀型石の発見と伝飛鳥板蓋宮に関わる苑池との関連も取り沙汰されて賑わったが、それから3年、今も酒船石遺跡の発掘は続いている。
今回の調査の目的は酒船石遺跡の大きさを特定することにある。

































図−1は調査地とその周りの地図です。 調査地は図中の黒色部分。その拡大図が図−2です。
図−2の楕円部分が右の図−3となります。
図−2の矢印の方向に写真を撮ったものが下の写真です。

              最初が1の写真です。

                次が2の写真です。                                             これが3の写真です。


写真1では石垣状の遺構が検出されました。石垣状の遺構は丘陵の自然地形を削り、「飛鳥石」を基礎になる石として、上面を平らにした状態で据えてあります。この基礎石は写真のとおり南北方向は階段状になっており、一番上の5段目の石は現在は無く、石が抜かれた痕跡のみとなっています。
「飛鳥石」の大きさは長辺が80〜100cm、短辺が20〜35cm、厚さ30〜40cm程の大きさで結構しっかりした感じがしました。
この基礎石の上にレンガ状に切られた「砂岩」が積んであったと他の調査区の結果推測されますがここでは写真のように少し離れたところに散らばっています。
この砂岩は小さなもので径5〜6cm、大きなもので長さ30cm前後、幅約18〜23cm、厚さ9から13cmのものまで見られます。
石垣状の遺構は、南北5m分、東西長で3.5m分を検出し、高さの差は150cありました。

写真3では写真1で見つかった石垣状遺構を作る際に周りの地形を整えた様子がうかがえる造成土がみられました。造成土はトレンチ内で幅約3.4m、長さ約25mにわたって見つかっています。
ここでも砂岩がまとまって出土しましたが積まれたり、敷かれた状態ではありませんでした。
しかし、こちらでは基礎石の「飛鳥石」が見あたらなことから、これらの石は写真1で見つかった石垣状遺構で使われていたものが人為的に動かされたものではないでしょうか。


出土遺物

出土した遺物には土師器(甕、坏身)、須恵器(甕、高坏、坏身、坏蓋、盤もしくは皿の蓋)、瓦器(椀)、陶磁器、四重弧文軒瓦・軒平瓦・軒丸瓦などが有ります。
その他特徴的な遺物として鉄釘、不明鉄製品、棺材の一部かと思われる木質片、石見型盾型埴輪、盾形埴輪、蓋型埴輪、円筒埴輪などが破片で出土しています。
遺物の詳細な時期については現在検討中です。


まとめ
 今回の調査は酒船石が存在する丘陵の東端に位置する谷および丘陵において南斜面と西斜面にトレンチを設定し発掘を行っています。
その結果、石垣状遺構の基礎石部分が見つかり、その上に載っていたと考えられる「砂岩」が出土しました。
「砂岩」を伴う石垣状の遺構が酒船石のある丘陵南側の斜面で見つかったのは今回が初めてです。今回の発見によって石垣状の遺構が北側、西側の斜面だけでなく南側の斜面にも巡り、少なくとも最上段にあたる部分に関しては酒船石のある丘陵を全周していた可能性が高くなりました。
また、第20次調査で見つかった石垣状遺構と今回の調査で見つかった石垣状遺構とが対象になるような形になっていることから、これらの石垣状遺構が最上段の東端であった可能性も考えられます。
第20次調査で見つかった石垣状の遺構を北側斜面の東端と考えた場合、ここから酒船石のある丘陵をめぐり今回の調査で見つかった石垣状遺構までの距離を測ると、総延長700mとなります。
また第20次調査で見つかった石垣状遺構と今回見つかった石垣状遺構との距離は直線距離にしておよそ50mになります。
仮に、丘陵上を巡らせる700mもの石垣状遺構を築くような大土木工事が行われたとするならば、それは、『日本書紀』斉明2年是年条にあるような宮の東の山に石垣を造るという事柄や石垣を築くために7万人もの人々が動員されたという記事などを現している可能性がさらに高まりました。

          以上 明日香村教育委員会 当日配布資料を参考に作りました。




もう少し気になることがありました。
それは下の写真をご覧ください。


この写真は上の写真1の基礎石の一番左端の「飛鳥石」です。 なんとホゾ穴があるではないですか。2つのことが考えられます。
一つは他の目的に使われていた石の再利用かもしれない。 もう一つはこの上に柱とか扉があったかもしれないということです。
そうなれば、さらにこの丘陵の上に何らかの建造物があった可能性が出てきて、ますます夢が広がります。

それと3年前の亀型石は現在どのようになっているでしょうか。それと酒船石をご存じない方のためにその写真も撮ってきましたので併せて掲載しておきます。






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