柳生街道(滝坂の道)                  トップ


柳生街道は、滝坂道といい、柳生街道というのは俗称なのだそうです。
NHK大河ドラマ山岡荘八原作の『春の坂道』で有名になり、全長は約21Kmの街道です。
現在では、奈良町から円成寺までを滝坂の道コース、円成寺から柳生の里を剣豪の里コースとよばれています。
この道は本来、柳生の里の生活道路でしたので、昭和の初めまで柳生の里から米や、薪炭を牛馬の背中に積んで、帰りには生活物資を運んだ姿が見られたということです。
江戸時代に、当時の奈良奉行がの道に石畳の舗装道路に改修し、それが今も昔の風情を残しています。
そしてまた柳生十兵衛や荒木又衛門ら今も名を残している武芸者もこの街道を通ったかと思うと江戸時代への郷愁を感じるのです。

今回は前半の滝坂の道コースを円成寺から奈良に向かって歩くことにします。

円成寺

真言宗御室派の寺で柳生街道随一の名刹と言っていいでしょう。
756(天平勝宝8)年に聖武天皇、孝謙天皇の勅願により唐の僧、虚瀧和尚が開山したと伝えられていますが一時荒廃しました。
さらに1026(万寿3)年、命禅上人が再興しましたが応仁の乱で多くが焼失してしまいました。
本堂(重文)は藤原期の阿弥陀堂様式で1466(文正元)年に復元されたものです。
他に多宝塔・春日堂(国宝)・白山堂(国宝)があります。
春日堂・白山堂はいずれも1228(安貞2)年に建立され、日本最古の一間社春日造りの社で建物として日本で一番小さい国宝だそうです。




峠の茶屋に向かう途中にあった五尺地蔵と天保年間に作られた石灯籠



峠の茶屋

誓多林(せたりん)の集落を過ぎると一軒の茶屋があります。
江戸時代からの面影を残した感じです。これが峠の茶屋です。
ここで気になるのは、「誓多林」や近くの「大慈山(だいじせん)」、先程の円成寺の「忍辱山(にんにくせん)」という地名、日本語ではないなと直感しましたが、なんとインドの仏跡からとった名前なんです。
話を本題に戻しますが、柳生街道に人通りが多かった頃、盛況だったと言われていました。
なかには、飲み代のかたに鉄砲や鉄扇や神道無念流の極意武芸帳を置いていったらしく、それが今に伝わって残っています。
昔も武芸者でありながら精神修行の足りなかった人もいたのでしょうか。


地獄谷石窟仏
聖人窟とも呼ぶ。石を切りだした後の洞に、正面中央部は高さ1.4mの廬舎那仏(奈良時代後期)が、左が薬師如来、右が十一面観音(室町時代追刻)がある。
朱色の彩色がされているが、これは昭和20年代に誰かが着彩したらしい。
写真の3体の他に右脇に1体、左脇に2体の石仏が彫られている。

誰が彫ったかは不明であるが、大乗院の一僧が岩石窟に寝泊まりして彫ったとも、大仏殿を建てるとき、石材を切りだした後、石工が彫ったとも云われています。










春日山石窟仏


春日石窟仏は東西の2窟に分かれている。
凝灰岩を大仏殿を建てるときに切り取った跡に彫ったもので18体の石仏がある。

前面は崩壊していて、残念ながら足元だけしか残っていない石仏もある。
洞窟には、平安時代後期の保元二年(1157)の銘が残っており、はっきりと時代が分かるものです。

左上の写真は西窟で5体の如来座像が彫られていてたが、左端の阿弥陀如来と思われる一体のみが完全な姿で残っている。その右は多聞天(?かな)である。

右上の写真は東窟の西壁で、光背を背負った地蔵立像で4体残っている。

下の写真は東窟の東壁でこれも地蔵立像であろう。西壁が肉厚であるのに対して平面的であり作者が違うのであろう。




首切り地蔵
ちょうど首の部分で横一文字に切られたお地蔵様で、この道を歩いて柳生の里に剣の修業に通っていた荒木又衛門がこの地蔵で剣の試し切りをしたと言うことになっているが本当のところはどうなんでしょうね。
彫刻の手法から鎌倉期の作だそうです。













朝日観音
東面した高い岩壁に、朝日観音と呼ばれる3体の磨崖仏が彫られている。
早朝高円山の山頂からさし登る朝日に真っ先に照らされるところからこの名前が付いたのである。
観音と呼ばれてはいるが観音ではなく中尊は約2.3mの弥勒菩薩立像である。
弥勒菩薩の刻銘に「文永弐年乙丑十二月」の紀年があり、文永2(1265)年に作られたことが分かる。












夕日観音
鎌倉時代に彫られて、人の背丈ほどもある西向きの石仏です。夕日が当たると神々しさが増すことから夕日観音と呼ばれていますが、これも朝日観音と同様観音様でなく如来様なのです。




















寝仏
山ぎわの何げない石の裏側に大日如来が横に刻まれています。
これが「寝仏」と言われている石仏で近くの四方仏の一体が転がり落ちたもので室町時代の作品です。











                  第86回(葛城古道)   第88回(一乗寺下り松)





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